いま読んでます
- 作者: 三島由紀夫
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2003/06
- メディア: 文庫
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まだ半分くらいしか読めてないんですが、気になった文章を残しておきます。
ぐるりのひとびとは、しじゅう、自分が幸福なのだろうか、これでも陽気なのか、という疑問になやみつづけている。疑問という事実がもっともたしかなものであるように、これが幸福の、正当なあり方だ。
(略)
こうした順序で、ひとびとのこころは、彼のいわゆる『確かな陽気さ』のほうへ傾いてゆく。とうとう仄かであるが真実であったものが、勁くして偽りの機械のなかにとじこめられる。機械は力づよく動きだす。そうしてひとびとは自分が『自己欺瞞の部屋』のなかにいるのに気附かない。
(略)
少年期の欠点は、悪魔を英雄化すれば悪魔が満足してくれると信ずることである。
夢想は、人の考えているように精神の作用であるのではない。それはむしろ精神からの逃避である。