こっちを読んでる場合じゃない

明日返却日の

環境問題はなぜウソがまかり通るのか2 (Yosensha Paperbacks)

環境問題はなぜウソがまかり通るのか2 (Yosensha Paperbacks)

を読まなきゃいけないのに!


少年は虹を渡る―ハロルドとモード (1972年)

少年は虹を渡る―ハロルドとモード (1972年)

こっちを読了。今日借りたばっかなのに!にしはこんな役やるんだなあ。
モードはちっちゃくておちゃめ(すぎ)な80歳、って感じだったけど浅丘ルリ子さんはどう演じるんだろう。

最近よくある「年の差カップル」とか、ちょっと前にあった「死にたがる人びと」とかじゃなくてもっと普通に、「人としてのあり方」とかそういうことを言いたい小説なんじゃないかなって思った。

「いいこと?小さいものもあれば、大きいのもある。左へ傾いているのもあれば、右へ傾いているものもある。花びらのないのだってあるのよ。――眼で観察できるだけでもいろいろな違いがあるし、生化学的なことまでわかったら、どんなにたくさんの違いがあるかしれないわ。ね、ハロルド、日本人みたいなのよ。最初はみんな同じように見えるでしょ。でも彼らと親しくすると、大ぜいの中に、似た人は一人もいないことが分かるわ。ちょうどこのヒナギクみたい。一人一人が違っていて、過去に存在したこともなければ、これからの未来にも決してうまれてこない」

「でも、この世の悲しみの多くは、自分たちがこれだとわかっているのに……」――彼女はヒナギクをかざした――「……あのように扱われるままになっている人たちに原因があると、私は思うの」
彼女は眼をしばたいて、あふれ出る涙をふり払うと、午後の日ざしに静かに揺れている、無数のヒナギクの群れを見渡した。

「あら、ただの機械じゃないの、ハロルド。馬やラクダのように生きているのではないのよ。私たちは機械の時代に生きているけど、機械を生き物と同等には扱えないわ。もっとも」彼女はラジオのスイッチを入れながらつけ加えた。「機械はたしかに便利にはちがいないけど」

この部分が載っていた連続した4ページで、わたしがこの小説を読んだ価値はあったと思う。